マミヤの忘備録

ラップ、映像、その他諸々について記したいなぁと思ってます。

リング上で果たす存在証明―そしてシリーズの全肯定へ『クリード チャンプを継ぐ男』ネタバレレビュー

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クリード チャンプを継ぐ男(原題:CREED

2015,アメリ

配給 ワーナー・ブラザース映画

スタッフ
監督、原案、脚本 ライアン・クーグラー
製作総指揮 ニコラス・スターン
製作 ロバート・チャートフ、ウィリアム・チャートフ、シルヴェスター・スタローン、ケヴィン・キング・テンプルトン、デイヴィッド・ウィンクラー、アーウィン・ウィンクラー
キャラクター シルヴェスター・スタローン
脚本 アーロン・コヴィントン
撮影 マリーズ・アルバルティ
音楽 ルドウィグ・ゴランソン
キャスティング フランシーヌ・マイスラー
字幕 アンゼたかし

キャスト
アドニス・ジョンソン マイケル・B・ジョーダン
ロッキー シルヴェスター・スタローン
ビアンカ テッサ・トンプソン
“プリティ”・リッキー・コンラン ウッド・ハリス
メアリー・アン・クリード フィリシア・ラシャド

 

概要

1976年公開の第1作『ロッキー』から数えてシリーズ7作目、スピンオフにして正当な続編。ロッキーの盟友アポロの息子アドニスを主役に据え、不屈の男の物語が新たに紡がれる。

 

過去シリーズのネタバレも込みこみなので未見の方はご注意を!

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かつて明星を失った男が選ぶ結末『007 スペクター』ネタバレレビュー

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007 スペクター(原題:SPECTRE

2015,アメリカ、イギリス

配給 ソニー・ピクチャーズ エンターテインメント

スタッフ
監督 サム・メンデス
脚本 ジョン・ローガン、ニール・パーヴィス、ロバート・ウェイド、ジェズ・バターワース
プロデューサー バーバラ・ブロッコリ、マイケル・G・ウィルソン
撮影 ホイテ・ヴァン・ホイテマ
プロダクション・デザイン デニス・ガスナー
音楽 トーマス・ニューマン
主題歌 サム・スミス "Writing's On The Wall"
編集 リー・スミス
衣裳デザイン ジャイニー・テマイム
第二班監督 アレクサンダー・ウィット

キャスト
ジェームズ・ボンド ダニエル・クレイグ
オーベルハウザー クリストフ・ヴァルツ
マドレーヌ・スワン レア・セドゥ
M レイフ・ファインズ
Q ベン・ウィショー
マネーペニー ナオミ・ハリス
ルチア モニカ・ベルッチ
ヒンクス デイヴ・バウティスタ
エストレラ ステファニ・シグマン
デンビ アンドリュー・スコット
タナー ローリー・キニア
Mr.ホワイト イェスパー・クリステンセン

 

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概要

カジノ・ロワイヤル』『慰めの報酬』『スカイフォール』と続いてきたダニエル・クレイグ版007の集大成とも言える一作。過去三作の事件の裏で暗躍していた秘密組織「スペクター」がついに姿を現す。過去最大級の敵を打倒するためにジェームズ・ボンドが世界中を駆け巡る。

 

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オタクの性『ぼんとリンちゃん』ネタバレレビュー

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ぼんとリンちゃん

2014年,日本

配給 フルモテルモ、コピアポアフィルム

 

スタッフ

監督、脚本、撮影 小林啓一
主題歌 40mP
同人誌製作 星野リリィ
製作 マイケルギオン、フルモテルモ

 

キャスト

四谷夏子(ぼん) 佐倉絵麻
友田麟太郎(リン) 高杉真宙
みゆ 比嘉梨乃
蟹江田敬三 まつ乃屋栄太朗
べび 桃月庵白酒

 

 

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あらすじ

男のところに転がり込むように上京した友人「肉便器」を奪還するために、ぼんとリンちゃんが東京に向かう。

 

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青春のイニシエーション『心が叫びたがってるんだ。』ネタバレレビュー

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心が叫びたがってるんだ。

2015,日本

配給 アニプレックス

 

スタッフ

原作 超平和バスターズ
監督 長井龍雪
脚本 岡田麿里
演出 吉岡忍
プロデュース/企画 清水博之、岩田幹宏
キャラクター・デザイン/総作画監督 田中将賀
美術監督 中村隆
CG監督 森山博幸
音楽 ミト(クラムボン
制作 A-1 Pictures

 

キャスト

成瀬順 水瀬いのり
坂上拓実 内山昂輝
仁藤菜月 雨宮天
田崎大樹 細谷佳正
城嶋一基 藤原啓治
成瀬泉 吉田羊


映画「心が叫びたがってるんだ。」予告編 - YouTube

 

 

※ネタバレも込みこみですのでご注意を!

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言葉で人を傷つける経験、それは人生歩んでいれば誰しもにあるだろう。

言葉は、他者に対して明確に意志や感情を伝えることができる反面、ときには自分の意図以上のものを相手に与えてしまう。だから、言葉は薬にもなれば刃にもなる。

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自由を求めた者への手向け『ハーモニー』ネタバレレビュー

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こんにちは。マミヤ(@mamiya_7)です。

 

今回のレビューは『ハーモニー』です。

 

原作は未読なのですが、伊藤計劃作品には触れてみたいなと思っていたので、TOHOシネマズ新宿にて観にいきました。

 

モノローグが多めなところや世界観の補強としての引用の多用など、おもしろい作品だなと思いました。

これを期に原作も読みたいところです(こう思わせた時点で小説原作映画としては成功という気もします)。

 

ここからは結末部などネタバレも入ってまいりますのでご注意を。

ということで、以下レビューです。

 

 

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新米検事は沈黙の迷宮で、何をメルクマールとするのか?『顔のないヒトラーたち』ネタバレレビュー

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こんにちは。マミヤ(@mamiya_7)です。

 

先月、新宿武蔵野館で観た『顔のないヒトラーたち』についてレビューしていきたいと思います。

本作は、1963年から1965年に行われたフランクフルト・アウシュヴィッツ裁判開廷までの道のりを、史実に基づいて映画化したものです(人物・展開など創作の部分もありますが)。この裁判がナチス戦争犯罪を浮き彫りにし、ドイツの歴史認識を改めさせたと言われています。

今では「アウシュヴィッツ」という地名を聞くと、「収容所」を連想する人が多いのではないかと思われます。また、戦争の記憶を風化させまいと海外からもダーク・ツーリズムとして訪れる人も多く、単なる地名にとどまらない意味をこの言葉は内包しているように思います。本作を観てまず驚かされるのは、アウシュヴィッツという地で何が行われたのかが当時はほとんど認識されていなかったということです。序盤、ジャーナリストのグルニカ(アンドレ・ジマンスキー)が検察庁の若い職員たちに「アウシュヴィッツを知ってるか」と問うシーンが出てくるのですが、知らないと返答する人や意味がわからないという表情をする人ばかりです。当時の歴史認識が垣間見える瞬間でした。この時期がドイツにとって転換点だったことがわかります。

 

ドイツの歴史認識を変えたと言われるほどのフランクフルト・アウシュヴィッツ裁判を題材にしておりますが、ただの記録としての映画ではありません。あえて主人公のヨハン(アレクサンダー・フェーリング)など実在しない人物を配置し、作品のテーマをより浮き彫りにさせていきます。

また強制収容所の元士官を追う過程や、逮捕の場面などがポリティカル・サスペンスのようで、演出もなかなか凝っています。

 

レビューに移る前に、本作に対するスタンスを書いておこうと思います。西洋近代史や政治史にうといこともあり、今回はヨハンの視点から物語を辿りつつ、解釈を綴っていこうと思います。わたしのような門外漢が歴史認識などを絡めて語るのはおこがましいですし、ハードルが高いなと思うので、この映画は何を描いたのかを映画好きな人間の視点で考えたいと思います。

 

前置きが少々長くなりましたが、本題に移ります。ネタバレもございますのでご注意を(史実に基づいているのでネタバレというのも不思議な言い方ですが…)。

 

 

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次への試金石『映画 Go!プリンセスプリキュア Go!Go!!豪華3本立て!!!』ネタバレレビュー

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ごきげんよう♪

マミヤ(@mamiya_7)です。

 

『映画 Go!プリンセスプリキュア 』を観てまいりました。まばらに座るお子様たちの後方での鑑賞となりました。

例年通り、テレビシリーズが佳境を迎えるタイミングでの単独映画公開でございます。しかし今年は、タイトル通りの三本立て!ハロウィンを共通のテーマにして、さまざまなタッチのプリンセスを楽しめます。

三本立てという新たな試み、プリキュア映画19作目にして意欲的な姿勢を持って制作されたタイトルですが、この試みは今回の映画にどんな影響を与えたのでしょうか。

小編(CG)、長編(セル)、中編(CG)と続けて紡がれるハロウィンの物語の数々、それらを順にみていこうと思います。

先におことわりしておきますが、わりと辛口な部分もあるので、本作が大好きな方はご注意を。

 

では、レビューのスタートです!(例によってネタバレ込みこみ!)

 

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