マミヤの忘備録

ラップ、映像、その他諸々について記したいなぁと思ってます。

【アニメ感想】『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』第5話「キラめきのありか」

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あらすじ

 昨年度の歌劇「スタァライト」の夢を見ながら、目覚まし時計の音で目が覚めるまひる。横にいるはずの華恋とひかりの姿がない。

 華恋とひかり、二人だけで夜を過ごして以来、華恋は見違えるように変わった。しかしそのことにまひるはわだかまりを募らせる。

 故郷のおばあちゃんからジャガイモと一緒にまひるが中学生のときに受けたインタビュー映像が送られてくる。途中で映像を切り、目標なんて何もないと痛感するまひる

 華恋とひかり、二人の間に入ることができないもどかしさは続く。そんな中、オーディションの着信が鳴る。去年、華恋が見せてくれたきらめき―――「ずっと一緒にいる」―――この約束を取り戻すためのレヴュー。まひるの想いが舞台上で炸裂する。

 

 

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感想

 演出としてはコミカルなものが多く、笑える仕掛けもたくさんあったがどこか切なさを感じた。というのも実質的にはまひるの失恋回だからだろう。しかしただ悲壮感だけがあるのではなく、コメディとしての面もあるのはまひるというキャラのおかげであるように思う。この第5話は最初から最後まで演出が効いてて、4話でデュエット版が披露されたあとに5話のEDがまひるのソロというのも、切なさがありつつも自立を思わせる。

 自らがトップスタァになるためにオーディションに臨む舞台少女が多い中、華恋はひかりと共にその頂きを目指すが、まひるもそれに近しいものがある。まひるは華恋と共に運命の二人に、と願いながらそれを口に出せずにいて、今回の嫉妬のレヴューでその想いが爆発することになるが、華恋とまひるの二人の「他者と共にトップに」という在り方とは決定的に違うものが見えた。それは華恋とひかりが同じ願いのもとにトップスタァを目指すのとは違い、まひるは前の華恋のままでいて欲しいという想いが先行している。華恋とひかりのような、同じ願いを持った二人になれないことがわかっているからこそ、まひるの独占欲が強くなっていくという描写は巧みだった。

 まひるの思考が、レヴューが始まる前から袋小路に陥っているのも切ない。仮に華恋を下して独占できたとしても、まひるが憧れたきらめきは失われる。そのことに気付かないフリをしていただけでまひるが一番わかっていたように思う。そしてまひる自身が憧れたのはひたむきに頑張る華恋だ。そのきらめきはひかりとの再会でさらに増していった。

 レヴュー終盤、華恋はまひるを置き去りにはせずに、まひる自身のきらめきを説く。"温かい歌"、"お日様みたいなダンス"、"朗らかなお芝居"―――華恋が発するその言葉はまひるのきらめきを示すだけではなく、まさに今回の話数を象徴している。筋としては切ない物語なのに、演出はコミカルで温かく、まひるが主役でなければ成立しなかった話数だった。まひる自身のキラめきのありかがこの第5話の演出で表現されていることに気づくとやはり気持ちが温かくなる。

 最後にインタビュー映像の続きが流れる。インタビュアーにどんなスタァになりたいか問われこう応える。

大切な人たちを笑顔にできるような

温かいスタァになりたいです。

 元々自身の中にあったきらめきを再認識することで幕が引かれる。個人的に興味深いのは、一年前の時点では華恋もまひるもくすぶっていたにもかかわらず、まひるは華恋にきらめきを見出していたというところだ。ひかりのようなポジションにはなれなかったが、今の華恋があるのはまひるの温かさがあってこそのように思う。あの日、まひるが華恋のきらめきを見つけたように、今度は華恋がまひるのきらめきに気づかせる。恋慕は叶わずとも、麗しい友情の物語だった。

【アニメ感想】『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』第4話「約束タワー」

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あらすじ

 真矢とのレビューに敗北してから一夜が明けた。華恋は傍らにいるはずのひかりがいないことに気づく。寮内を探すも見つからず、ひかりに連絡を取ると外にいるようだ。ひかりから送られてくる断片的なヒントだけを頼りに都内の水族館をめぐり、街中をさまよう華恋が行き着いた先は東京タワー。目当ての水族館に入れず近くの公園で話す二人。華恋は負けないことをひかりに約束し、二人できらめいてトップスタァになることを誓う。

 

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感想

 今回はレヴューはなく、家出したひかりとそれに振り回される華恋が描かれた。二人の物語が主軸だが、寮生の連携が楽しい話でもあった。

 今回観ていて印象深かったのは、昨夜まで戦っていた舞台少女同士が、レヴューが終わると学友として互いに関わる様だ。オーディションが三夜まで終わった時点で参加者は互いに誰が参加しているのかをわかり始めているようだが、日常は日常として変わらず過ごすのは演技と現実とを分けて考えているからなのだろう(キリンに他言無用と言われているのはあるが)。あくまで舞台の上でしのぎを削る中であって、舞台を降りれば学友(香子ははめようとしたが笑)。 華恋とひかりのアリバイ作りに寮生全員が協力的だったり、早朝に帰ってきた二人を出迎えるシーンを見ると友人としての連帯感もそれなりに持っているようだ。

 そして肝心の華恋とひかりだが、やっとがっつりとした会話パートが描かれた。メッセージのやり取りから電話、そして対面で話す、という段階による演出が冷たい態度を取っていたひかりの心を溶かすようだった。とはいえ、わかりやすく家出したり、居場所のヒントを出したりと突き放しきれないのがひかりのチャーミングなところだ。

 演出的におもしろかったのは、華恋とひかりの電話シーン。お互いがいない間に起こったことや学んだこと、他愛もないことを伝え合うのだが、二人をカットバックさせながら描かれる。しかもカット毎に話題が変わり、お互いのヒストリーとその厚みがこちらにも伝わるようになっていて良い演出だなと思った。この描き方によって、せきを切ったような勢いのある演出になっているし、長い月日を経てやっと再会した関係であることがより染みてくる。

 オーディションについての会話で、キリンの言葉を借りて、トップスタァが一人じゃないといけないなんてルールはないと自論を展開する華恋。彼女なりに状況を考え把握しているのがわかる。とはいえそんな簡単にはいかないのは明白ではあるが果たしてどうか。

 オーディションから何としても遠ざけたかったひかりと、それでもきらめくことを選んだ華恋。東京タワーを見上げ、二人が共に頂きに立つことを誓うシーンがまぶしく映る。二人の目標が新たに定まった話数だった。

【アニメ感想】『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』第3話「トップスタァ」

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あらすじ

 今年も聖翔音楽祭の時期が迫って来た。九十九期生は毎年、歌劇「スタァライト」を上演し、3年かけて公演の完成度を高める。今年はななが裏方に回り、俳優陣を支えることに。

 放課後、真矢とのレヴューを通じて打ちひしがれたクロディーヌは自主練に励む。そんな彼女を気にかける双葉。一方、まひると香子はルームメイトの動きを怪しんでいた。

 着信音が鳴り、エレベーターへと急ぐ華恋。ひかりの静止を振り切りオーディションに臨む。

 昨年の歌劇「スタァライト」での集合写真を眺める真矢。彼女の元にも報せが届き、意を決したように髪をなびかせる。

 そして、飛び入り参加した華恋と九十九期生主席の真矢が剣を交える―――。

 

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感想

 真矢の物語を本筋にしながらもキャラ同士の新たな友情の芽生えや、その裏で静かに起こる軋轢が描かれた。関係性が徐々に変化していき、クロディーヌと双葉、まひると香子、と絡みが薄かった者同士が積極的に関わってくる展開はやはり楽しい。

 そんな変化の中にあるからこそ真矢のぶれなさがいっそう際立つ。同時にそれゆえに常に頂きにいるからこその孤独も描かれた。レヴュー内でも述べていた何かを犠牲にして何かを得る、という考え方にはどこか物悲しさがある。レヴューソングの『誇りと翳り』というタイトルにもそれは表れており、無垢な華恋の「ひかりと一緒にスタァになる」という目標とも対比になっている。真矢役の富田麻帆さんの声色と圧倒的な声量が説得力を増させているのもあり、真矢と華恋との差が果てしないものに思える。

 真矢はレヴュー内で時折、“あの子”つまりクロディーヌについて言及するが、ぶれない芯の強さはクロディーヌから来ているとも取れる。真矢は前年度の歌劇「スタァライト」の終演後にクロディーヌをねぎらい、握手を求めるも「私は負けてない」と強く反発される。自分の相手にふさわしい存在だと認めての行動を否定されたがゆえに真矢はより強くなったのだと思う。認めた相手が友情を切り捨てたからこそ、自分は友情に心を揺さぶられてはいけない。そう言い聞かせるようなレヴューだった。だからこそ、前半の他のキャラとの会話や、舞台の写真を机に置いて真矢なりに愛着を持っているのがわかるカットは、トップスタァとしての悲哀をより感じさせる。

 クロディーヌの方はトップスタァになるという以上に真矢自身への執着が強い。そんな彼女が「私だけは違う。そう思ってきた。でも、届かなかった。」と双葉に弱音を吐く姿は印象的だ。弱音を吐くというのは、相手を信頼するからこそできる行為だと思う。クロディーヌはあの瞬間、双葉に心を開き、双葉はそれに応えた。そしてあの日、形は違えど真矢もねぎらいという形で心を開いた。しかし拒絶された。この両者の異なる経験こそが、両者の決定的な差になっている。1話でキリンが舞台少女について「普通の喜び、女の子の楽しみ。全てを焼き尽くし、遥かなきらめきを目指す。」と述べたが、この定義に一番敵っているのはまさに真矢なのである。あの日の握手を拒絶されたからこそ頂きに居続ける真矢。双葉に勝利し、ねぎらうように手を差し伸べ、友情を育むクロディーヌ。皮肉な対比かもしれないが、美しい。

 今回、華恋は真矢に負けて、ひかりにも平手打ちを食らうと散々だが、華恋の存在がオーディションのシステムに風穴をあけることになるのかもしれない。華恋の姿勢が、自身の炎に巻かれながら悲哀を生きる真矢を始めとした舞台少女たちを救う―――そんな展開を個人的には期待している。

 ちなみに電撃G'sコミック9月号に掲載の前日譚漫画の『オーバーチュア』第7幕は、真矢なりにクロディーヌを認めているのがわかる内容になっているので合わせて読むと面白いと思われる。

【アニメ感想】『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』第2話「運命の舞台」

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あらすじ

掴んでみせます

自分星!!

 そうメモを残し早朝ランニングに向かう純那だが、先の敗北が頭をよぎる。華恋は、純那に勝利したあとキリンからオーディションへの参加を認められ、このオーディションのことは他言無用と告げられる。そしてその場面を思い出すように夢に見て、目が覚める。

 ダンスレッスンで圧倒的な表現力を見せる真矢とクロディーヌ。他の生徒たちも感嘆の声を上げるが、それに対して純那は「彼女たちを超えていかなきゃ舞台の中央に立てない」と叱責する。華恋は成り行きで純那とレッスンのペアを組むことに。純那はオーディションのメールの話を持ち出すも、華恋に届いていないことを知り、参加無効を主張。レッスンが終わった直後、過労のため純那が倒れる。目が覚め、看病してくれたななに気持ちを吐露する純那。次いで「チャンスが来たの。なれるかもしれない。スタァに!」

 華恋をオーディションから降ろそうとするひかりだが、華恋の強い意志を目の当たりにする。華恋もまた自らの可能性にかけようとしていた。そして鳴り響く着信音。オーディション2日目が幕を開ける―――。

 

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感想

 ずっと星を見つめてきた者とかつての夢を取り戻した者の戦い。経緯は違えど、くすぶっていた者同士が繰り広げる“渇望のレヴュー”。その名にふさわしい話数だった。

 華恋の意志の強さと純那のヒストリーがレヴューに乗せて語られた今回。レヴューに至るまでの流れがやはり丁寧で、お互いのストーリーをカットバックで描写する手法が巧みだった。レッスン中の他の学生への叱責を聞いて、のちに華恋が「ドキッとした」と述べるシーンも、この手法によりさらに映える。そして華恋は、純那のその姿勢を見て物怖じするのではなく、自らの意志をさらに固めていくという流れがおもしろい。1話ではひかりとの出会いが夢を目覚めさせ、純那の舞台への姿勢に刺激を受ける、いろんな舞台少女とのやりとりでハイブリッドに成長していくのが華恋というキャラなのかもしれない。

 一方、純那は今回の主役なだけあり、短い時間の中でもしっかり掘り下げられる。過去の自分をマネキンの中の一つとし、勉強しかしてこなかった少女が魅せられたのはきらめく舞台。そこから純那の再生産が始まったという。華恋とのレヴュー、マネキンにまぎれこんでかく乱しながら矢を放つ戦術は、かつての有象無象の一体ではなく、多くの学友たちに先んじ星を目指そうとする彼女の日常を反映したかのように彼女自身を演出する。特にマネキンの山に身を隠しながら「このまま埋もれてなんかいられない!絶対追いついてみせる!」と心の内で唱えるシーンは涙腺を刺激された。

 結果的には華恋が純那の肩がけを再び切り落とし勝利する。そこで繰り返し表明される“ひかりと共にトップスタァになる夢”。キリンも意味深に言及していたが、2人であることに意味がありそうだ。

 「一度負けたら終わりかと思ってた」とこぼす純那に、キリンは「舞台少女にはそれぞれ個性があり、その中からトップスタァを選ぶためのオーディション」と答える。それぞれの資質を見定めるのが目的であるならば、勝敗の数が決定的に明暗を分けるわけではないのかもしれない。劇中で前の年にも行われた舞台“スタァライト”。その配役がまさに劇的に変わるのかもしれない。華恋以外のオーディションの行方にも注目したい。

 レヴュー後、幕の下にいる純那に声をかける華恋。本当の舞台で共演者を労うかのようで印象的だ。

 また、七五調のリズムが気持ちよいレヴュー前の口上。純那はストレートに星をモチーフにしたセリフになっている。最初に「人には運命の星がある」と述べているが、敷かれたレールを脱し、自らでその運命の星になることを鼓舞するようで、こちらも気持ちが高揚してしまった。

 今回で口上が華恋だけではなく他の8人分もあることがわかったので楽しみだ(キャストが演じる舞台版は未見)。次にメインで登場しそうな真矢の口上にも期待したい。

【アニメ感想】『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』第1話「舞台少女」

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あらすじ

 愛城華恋は聖翔音楽学園に通う2年生。俳優科に所属し、表現力を高めるために日々レッスンをこなす。そんなとき、華恋の幼なじみである神楽ひかりが聖翔音楽学園に転入してくる。イギリスに旅立ったひかりと12年ぶりの再会に歓喜する華恋だったが、ひかりはどこかよそよそしい。放課後、寮の星光館から学校へと走っていくひかりを見かけた華恋はその跡を追う。姿を見失った華恋が学校のエレベーターに触れた瞬間、一帯が地下へと下りていく。地下に広がる劇場、そこで戦いを繰り広げるひかりと学級委員長の星見純那。戦いをやめさせようとする華恋だが、傍らにいる“キリン”に辛辣な言葉を浴びせられる。それを無視し、ひかりを助けるため客席から舞台へと飛び出す華恋。舞台少女たちの運命を決める“オーディション”の幕が開くのだった。

 

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感想

 華恋をはじめとしたキャラクターの紹介と導入、壮大なプロローグといった第1話だった。散りばめられた謎も多く今後の展開に惹かれるところだが、それは後々に明かされるであろうということで、今回は主にスポットが当てられた華恋について書いていきたい。

 結論から書くと今回の話数は、華恋が舞台少女としての自覚を持つ話になっている。第1話で主人公が何かに目覚めるというのはどんなジャンルでも定番の展開だが、それに至るまでの華恋の描き方が丁寧だ。

 Aパートの序盤で、(日直を任されているというのもあるが)クラスの誰よりも早く学校に行き、教室の鍵を開け、床の中央に貼られた凸の形のバミリ=ポジションゼロをじっと見つめる華恋。彼女の舞台への情熱を感じるシーンだ。ここだけでも華恋の舞台への気持ちが汲めるようになっている。だがそれに反比例するように自信のなさを覗かせる場面もある。まひるたちとの昼食での会話で真矢とクロディーヌに敵わない旨を話すが、「主役になれない」ことに対してどこか納得していて葛藤はないように見える。

 それがひかりの登場で一変する。彼女との再会が華恋の情熱を―――トップスタァに共になる夢を再び目覚めさせるきっかけとなる。ここで面白いのがひかりと直接会話するシーンは少ないものの一方的に絡みにいって、結果的に自分を再燃させているところだ。ひかりから𠮟咤激励されたとかではなく、閉ざしかけていた自分の夢をひかりとの再会によって自ら思い出す、というのが華恋の猪突猛進な個性と相まって“らしさ”が詰まっているなと思う。最初は再会の喜びが大きいが、再会によって夢へと向かう情熱を自覚するのは地下劇場でのシーンで決定的になる。

 ひかりを助けるために舞台に飛び出して始まる“アタシ再生産”。このシーンは印象に残るだけでなく、服の縫製や刀剣の鍛治という直接的に物を作る描写によって、華恋の意識が生まれ変わることが描かれている。衣装を作り上げる機械が華恋の夢のシンボルである王冠の髪飾りを燃料として動き出すのもおもしろい。このシュールでインパクトのある映像は『少女革命ウテナ』を始めとした幾原邦彦監督作品の雰囲気があり、意識の変革が物語で描かれたウテナへのオマージュを感じる。

 始まる華恋のレヴュー。くすぶり続けた想いを吹き飛ばすように純那の肩がけを切り落とし決着となる。レヴュー曲『世界を灰にするまで』の終盤のパートを華恋が務め、少ない歌唱箇所だが映像との相互作用で印象深いシーンになっている。

 レヴュー曲のタイトルに『世界を灰にするまで』とあるが、キリンは初対面の華恋に対してこのように言う。「普通の喜び、女の子の楽しみ。全てを焼き尽くし、遥かなきらめきを目指す。それが舞台少女。」このセリフはまさに芸事を志すとはどういうことかを表したようなセリフで、情熱の炎が燃え続ける限りは全てを燃料にして演じ続けなければならない過酷さがわかる。キャスト・スタッフにも重なるようでかなりメタなセリフだと思った。

 そして華恋がこの舞台を演じ続ける原動力は「ひかりと共にトップスタァになる」こと。あくまで自分一人が輝くのではないというところに、今後の物語のフックがあるのではないかと思う。「みんなをスタァライト、しちゃいます!」と口上を述べるが、これからどのように他者を照らしていくのだろうか。

 オーディションの思惑と舞台“スタァライト”の関係、華恋にそっけない態度を取るひかり、純那の舞台への想い、まひるの華恋に対する独占欲、クロディーヌの真矢への対抗心など、次なる展開への布石は揃い始めている。次回以降も引き続き感想を綴っていきたい。

【映画感想】『レディ・プレイヤー1』現実へ回帰するために

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レディ・プレイヤー1(原題:Ready Player One)

監督 スティーブン・スピルバーグ
原作 アーネスト・クライン

キャスト
ウェイド・オーウェン・ワッツ/パーシヴァル タイ・シェリダン
サマンサ・イヴリン・クック/アルテミス オリヴィア・クック
ジェームズ・ドノヴァン・ハリデー/アノラック マーク・ライランス
ヘレン・ハリス/エイチ リナ・ウェイス
トシロウ/ダイトウ 森崎ウィン
ショウ/ゾウ フィリップ・ツァオ
ノーラン・ソレント ベン・メンデルソーン

 

 

あらすじ

 西暦2045年―――汚染された環境、貧富の差の拡大、荒廃した世界の中で多くの人が生きる中、人々はVRワールド"オアシス"を心の拠り所としていた。ある時、オアシスの創設者ジェームズ・ハリデーが逝去。その後に公開されたビデオの中で自身が所有する株やオアシスの運営の権利など全てを、"イースターエッグ"を見つけたものに譲ると宣言。大勢のエッグハンター(ガンター)や大企業IOIが誇る軍団シクサーズが大挙して試練に挑むが、誰一人としてスコアボードに名前を刻まれることなく5年の月日が流れた。多くのガンターの熱が冷めていく中、ウェイドは発想の転換によって第1の試練を見事にクリア。そしてボードに"パーシヴァル"の名が躍り出る。

 

感想

 冒頭から膨大な画面の情報量に圧倒され、普通の2Dで観たというのに、三半規管を揺さぶられる演出と臨場感にやられました。アトラクション的な体験だけでもかなり充たされますが、そこに80年代を中心とした古今東西サブカルチャー作品のオマージュで彩られているというのだから興奮しないわけがありません。しかしこの作品、表面的な部分だけではなく、テーマも骨太なように思いました。サブカル関連のネタから追っていくのではなく、印象に残ったシーンからテーマを考えていきます。

ここからは結末部にも触れますのでご注意を!

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【アニメ感想】『DEVILMAN crybaby』繋ぐバトン。伝う涙。

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DEVILMAN crybaby

スタッフ
原作 永井豪デビルマン
監督 湯浅政明
脚本 大河内一楼
音楽 牛尾憲輔
キャラクターデザイン 倉島亜由美
デビルデザイン 押山清高
ラップ監修 KEN THE 390
アニメーション制作 サイエンスSARU
製作 アニプレックス、ダイナミック企画
協力 Netflix

キャスト
不動明 内山昂輝
飛鳥了 村瀬歩
牧村美樹 潘めぐみ
ミーコ 小清水亜美
シレーヌ 田中敦子
カイム 小山力也
ゼノン アヴちゃん(女王蜂)
長崎 津田健次郎
ワム KEN THE 390
ガビ 木村昴
ククン YOUNG DAIS
バボ 般若
ヒエ AFRA 

 

あらすじ

 "不動明"は秀でた能力があるわけではないが、人の悲しみに敏感な青年。部活の帰路で居候先の幼なじみ"牧村美樹"が不良に絡まれてるところを助けていると、幼い日に別れた親友"飛鳥了"が現れる。嵐のように不良たちを巻き、了に連れられて、"サバト"という名のドラッグパーティに潜入。了は悪魔の存在を証明するために来たという。狂乱の中で暴力が渦巻いていく中、明は人の心のまま悪魔の力を持つ"悪魔人間(デビルマン)"として覚醒する―――。

 

感想

 鬼才と名高い湯浅政明監督がメガホンを取るだけあって、サイケでスピーディな映像になっていました。現代アレンジされたデザインや独特なデフォルメはさることながら、物語の端折り方やともすればギャグにもなりかねない描写も詰め込まれており、現代の黙示録の世界がそこにはありました。

 

ここからは結末部にも触れますのでご注意を!

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