あらすじ
浦女を駆け巡る不穏な報せ。生徒数の減少に伴い、統廃合の可能性が出てきた。
母校の危機だが千歌は心なしか嬉しそうにしている。それもそのはず、憧れのμ'sと同じような状況になったからだ。廃校のピンチから浦女を救うと息巻く千歌。沼津や内浦の良いところを市外の人にアピールしようとPVを作ることに。
内浦の景色の美しさは誇れるものの、都会に比べれば物もなく、PV作りは難航。そんな中やっとの思いで作ったPVも鞠莉には「このテイタラクですか?」とたしなめられる始末。
鞠莉に町の魅力を教えようかと提案されるが、自力で見つけなきゃ意味ないと千歌は固辞する。明朝、海開きが行われ、町の人たちが一堂に会する光景を見て、梨子が「これなんじゃないかな」と気づく。千歌はその場にいた人たちに、学校を救うためPVへの協力をお願いし、見事にスカイランタンの映えるPVを作り上げる。
学校の屋上で夕焼けを見送りながら「私、心の中でずっと叫んでた。助けてって。ここには何もないって」と気持ちを吐露する千歌。でもそれが間違いだったことを認め、高らかに宣言する。
「この場所から始めよう。できるんだ!」
感想
一旦お話に区切りができる話数。前半のコミカルな演出やサブタイトルからコメディ回かと思いきや、千歌たちが改めて、自分たちの土地の良さを認識する回になりました。
ダイヤが3話で語った「町の人たちの善意」が違う形で示されていて、そのことに最初に気づくのが東京からやってきた梨子というのも、よそから来た人でも内浦の良さは伝わるという証明になっているように思いました。
鞠莉が千歌たち以上に内浦や沼津の良さを知っていると豪語したのも、約2年間アメリカに飛んでいたからなのかなと思います。当たり前にあったものがなくなることの辛さと、当たり前にそこにあるという喜びは鞠莉だからこそ感じられるものかもしれません。
1話で「かわれかわれって今日から新しい世界へと」と歌った千歌たちでしたが、千歌たちが求めたものは実はどこまでも近くにあって、自分たちの見方が変わると世界も変わっていきました。灯台下暗しとはこのことで、「助けて!」と叫んだその場所こそが、千歌にとって大きな味方でした。
千歌の内浦生まれであることへのコンプレックスの告白と、それでもこの場所からでもできる、ということを自覚するラストシーンがとにかく美しいです。
楽曲紹介
「夢で夜空を照らしたい」
作詞:畑亜貴
作曲:光増ハジメ
編曲:EFFY
歌唱:高海千歌(cv.伊波杏樹)、桜内梨子(cv.逢田梨香子)、渡辺曜(cv.斉藤朱夏)、津島善子(cv.小林愛香)、国木田花丸(cv.高槻かなこ)、黒澤ルビィ(cv.降幡愛)
内浦や沼津のことをモチーフにした曲であると同時に、「遠い憧れ」であるμ'sのことや夢についても歌われています。内浦の人たちで飛ばすAqoursのスカイランタンが、現在地から遠いとしても届かない星に挑戦する隠喩のようなものに感じられ、穏やかな曲調の中に雄々しいテーマが見えてきます。
土地についての曲というと、μ'sの「Wonder zone」が浮かびます。そちらは「変わり続けても受け入れてくれる街」をモチーフに作られましたが、Aqoursの「夢で夜空を照らしたい」では「生まれたときから変わらない景色」をモチーフに作られました。対照的に見える両曲ですが、アニメでの描かれ方などを踏まえると、受け入れてくれるという根っこの部分で共通していて、どこか繋がりを持つ印象を受けました。
有頂天の千歌に巻き込まれる善子。ポーズはやたら決まってます。