あらすじ
掴んでみせます
自分星!!
そうメモを残し早朝ランニングに向かう純那だが、先の敗北が頭をよぎる。華恋は、純那に勝利したあとキリンからオーディションへの参加を認められ、このオーディションのことは他言無用と告げられる。そしてその場面を思い出すように夢に見て、目が覚める。
ダンスレッスンで圧倒的な表現力を見せる真矢とクロディーヌ。他の生徒たちも感嘆の声を上げるが、それに対して純那は「彼女たちを超えていかなきゃ舞台の中央に立てない」と叱責する。華恋は成り行きで純那とレッスンのペアを組むことに。純那はオーディションのメールの話を持ち出すも、華恋に届いていないことを知り、参加無効を主張。レッスンが終わった直後、過労のため純那が倒れる。目が覚め、看病してくれたななに気持ちを吐露する純那。次いで「チャンスが来たの。なれるかもしれない。スタァに!」
華恋をオーディションから降ろそうとするひかりだが、華恋の強い意志を目の当たりにする。華恋もまた自らの可能性にかけようとしていた。そして鳴り響く着信音。オーディション2日目が幕を開ける―――。
感想
ずっと星を見つめてきた者とかつての夢を取り戻した者の戦い。経緯は違えど、くすぶっていた者同士が繰り広げる“渇望のレヴュー”。その名にふさわしい話数だった。
華恋の意志の強さと純那のヒストリーがレヴューに乗せて語られた今回。レヴューに至るまでの流れがやはり丁寧で、お互いのストーリーをカットバックで描写する手法が巧みだった。レッスン中の他の学生への叱責を聞いて、のちに華恋が「ドキッとした」と述べるシーンも、この手法によりさらに映える。そして華恋は、純那のその姿勢を見て物怖じするのではなく、自らの意志をさらに固めていくという流れがおもしろい。1話ではひかりとの出会いが夢を目覚めさせ、純那の舞台への姿勢に刺激を受ける、いろんな舞台少女とのやりとりでハイブリッドに成長していくのが華恋というキャラなのかもしれない。
一方、純那は今回の主役なだけあり、短い時間の中でもしっかり掘り下げられる。過去の自分をマネキンの中の一つとし、勉強しかしてこなかった少女が魅せられたのはきらめく舞台。そこから純那の再生産が始まったという。華恋とのレヴュー、マネキンにまぎれこんでかく乱しながら矢を放つ戦術は、かつての有象無象の一体ではなく、多くの学友たちに先んじ星を目指そうとする彼女の日常を反映したかのように彼女自身を演出する。特にマネキンの山に身を隠しながら「このまま埋もれてなんかいられない!絶対追いついてみせる!」と心の内で唱えるシーンは涙腺を刺激された。
結果的には華恋が純那の肩がけを再び切り落とし勝利する。そこで繰り返し表明される“ひかりと共にトップスタァになる夢”。キリンも意味深に言及していたが、2人であることに意味がありそうだ。
「一度負けたら終わりかと思ってた」とこぼす純那に、キリンは「舞台少女にはそれぞれ個性があり、その中からトップスタァを選ぶためのオーディション」と答える。それぞれの資質を見定めるのが目的であるならば、勝敗の数が決定的に明暗を分けるわけではないのかもしれない。劇中で前の年にも行われた舞台“スタァライト”。その配役がまさに劇的に変わるのかもしれない。華恋以外のオーディションの行方にも注目したい。
レヴュー後、幕の下にいる純那に声をかける華恋。本当の舞台で共演者を労うかのようで印象的だ。
また、七五調のリズムが気持ちよいレヴュー前の口上。純那はストレートに星をモチーフにしたセリフになっている。最初に「人には運命の星がある」と述べているが、敷かれたレールを脱し、自らでその運命の星になることを鼓舞するようで、こちらも気持ちが高揚してしまった。
今回で口上が華恋だけではなく他の8人分もあることがわかったので楽しみだ(キャストが演じる舞台版は未見)。次にメインで登場しそうな真矢の口上にも期待したい。