あらすじ
ピアノコンクールのために東京へ向かう梨子。8人となったAqoursで梨子のポジションを埋めるために千歌の幼なじみである曜が抜擢される。千歌と曜のツインセンターで行うダンスのフリがなかなか合わないが、曜が梨子の動きを真似ることで克服する。
練習は順調に進んでいるはずが、曜はどこか浮かない表情。異変に気付いた鞠莉が曜とぶっちゃけトークをして、曜は心情を吐露。鞠莉から本音で話すようにアドバイスされる。
なかなか千歌に本音を切り出せない曜のもとに、梨子から電話が入る。「幼い頃から誘いがあっても断り続けていたから、スクールアイドルは一緒にやり遂げる」という千歌の想いを、梨子から聞く曜。そのときにちょうど、千歌が曜の家までやって来て2人でステップを新しく作ることを提案し、曜は涙ながらにそれを受け入れる。かくしてAqoursはラブライブ!予選へ、梨子はピアノコンクールへと向かう。
感想
今回は曜がメインのお話で、千歌と梨子に対する葛藤を描くことを通して、2年生の絆がわかる話数になっています。
この話数でとにかく上手いなぁと思ったのは、個人回の締めに曜のエピソードを持って来たことです。Aqoursは9人という大所帯で、それぞれの加入エピソードが描かれてきました。その中で曜は1話で加入を決意し、そこまで悩みが描かれることはありませんでした。それは制作的な問題もあって、誰かが早期にメンバーにならないと話が進まないのもあり、こういう展開になっているのだと思いますが、それを逆手にとって他のメンバーの嫉妬という形で話を昇華するところに脚本の上手さを感じました。
活発で要領が良い曜が、実は梨子への嫉妬やメンバーが増えていくことの寂しさを抱えているというのは、キャラの深まりを感じられました。自分たちにとって喜ばしいことなのにどこか心がもやもやしてしまう、そういう白黒はっきりつけられないような感情って誰しもが持ちやすいだろうし、単純に共感を得やすい話だなぁと思いました。
サンシャインの物語の展開は、μ'sの物語をあえて意識したものが多いのですが、このお話もその一つだと思われます。無印1期の終盤は2年生メインの物語で、穂乃果の周りが見えなくなってしまうほどのひたむきさが裏目に出てしまう展開になり、2年生間の友情に亀裂が入ってしまいます。でもその失敗も持ち前のひたむきさで解決して再びμ'sとしてステージに立ちました。
Aqoursの2年生の場合は、曜の悩みの詳細はわからないにしろ千歌が異変に気づき、2人で新しいステップを考案しようという流れになっています。基本的に千歌はメンバーの変化について敏感に描かれており、穂乃果とは好対照な存在として描かれているのではないかと思います。
終盤で曜と梨子が、千歌がスクールアイドルを選んだ理由を語ります。「千歌ちゃんにとって輝くということは、自分一人じゃなくて、誰かと手を取り合い、みんなで一緒に輝くこと」というセリフが出てきます。それは穂乃果のひたむきさを見た人が感化される、という無印1期の展開とは違うもののように思います。穂乃果の場合は猪突猛進に駆け抜けて、それをメンバーが追いかけていくような勢いがありますが、千歌の場合は少しの変化にも反応して結果的にはその変化に寄り添うような視野の広さを感じさせます。曜の担当回でありつつも、 好対照なリーダーとしての資質が垣間見える回でした。
楽曲紹介
「想いよひとつになれ」
作詞:畑亜貴
作曲・編曲:佐伯高志
歌唱:高海千歌(cv.伊波杏樹)、松浦果南(cv.諏訪ななか)、黒澤ダイヤ(cv.小宮有紗)、渡辺曜(cv.斉藤朱夏)、津島善子(cv.小林愛香)、国木田花丸(cv.高槻かなこ)、小原鞠莉(cv.鈴木愛奈)、黒澤ルビィ(cv.降幡愛)
Aqoursの楽曲の中で一番コーラスが映える曲だと思います。ピアノがフィーチャーされた楽曲で、遠く離れているはずなのに梨子を感じるような音色が特徴。劇半曲の「想いのかけら」(2話にのみ流れる)と「海に還るもの」(梨子が作曲した設定)とメロディが同じで、予選とコンクールの会場という遠く離れた土地で、同じメロディの曲で挑むという非常にエモい展開になっております。ダンスも歌詞も曲調も1期劇中歌でトップクラスに好きな曲です。1stライブでのアクトが1日目、2日目とどちらも素晴らしく思い出の1曲になりました。
「ずら、ピギィ、ギラン」千歌と曜の練習を見守る(盗み見る)1年生たち。