こんにちは。
ブログではお久しぶりのマミヤ( @mamiya_7 )です。
今回は先日配信した、
1st EP『ill nerd thing』
の解説をやっていこうと思います。
何気にライナーノーツって書いてみたかったので書くのワクワクしちゃう。
と言うことで早速。
1st EP『ill nerd thing』
EPのタイトルは、SoundCloudに上げる際には『mamiya 1st EP』みたいな簡素なものになる予定だったんですが、サンクラのシステム的に「◯◯◯ EP」みたいに「EP」という文字列を入れて作成することができないようで、急遽考えたものです。
結果、曲をそのまま表題にするんじゃなく、本作の4曲目(サンクラでは3曲目)の『ill nerd sing』をもじったものに相成りました。「thing」はどこから来たかというと、「sing」をもじれないかなぁと考えたときに「謎の物体X」の原題「The Thing」をふと思い出したことに由来します。「もの」って付けちゃうことでよりナードの塊っぽさが出るかなと。
そんな感じでこのEPは明示的にも暗示的にも自分の好きな作品についての曲が多いです。
M1.『this river』
beats & mix by TAKI from No's-Core ( @RexTaki )
川を見て物思いに耽っている様を曲にしたものです。
壮大な歌詞にしようかと思ったら、思った以上に内省的になりました。川みたいに人生にはいい流れもあれば淀むこともあるよねって、エモかつ一般論として受け取りやすい内容になったかと。
内容の直接の元ネタではないけど、岡崎京子さんの漫画『リバーズ・エッジ』みたいな情景がイメージとして浮かんでいました。死体を見つけることもなく、ただ物思いに耽る凡人の姿がトラックの上にはありました。
ラップや歌唱の部分についてですが、聞かせたい内容だったのでオーソドックスなラップを意識。エモトラップなトラックだけど、倍で乗せるとかではなく逆に普通の乗せ方の方が映えるなと考えました。hookの歌唱部分は、何回かメロディが変遷しましたが一番最初にできた箇所(私はhookから思い付くことが多いんすよ)。けっこうキー的にきつくて声出すのがギリギリという笑。
トラックはマイメンのTAKIが作成してくれました。後に続くUtopiaもそうですがエモなトラックは彼に任せると良いものが返って来ますぜ。
TAKI君はNo's-Core ( @NosCore_ )というクルーでも活動中。私も所属するTOKIIRO STUDIOのチャンネルに彼らのMVがあるのでぜひチェックしてね!
イチオシの曲は『0VERC0ME』(Beats by Captain Akihabara)。フレッシュさと大一番でかまそうという気概を感じる彼らのアンセムです。
M2.『ルート』
beats by Unknown Instrumentalz ( @unknowncookup )
mix by TAKI from No's-Core
名前の通りどういう道のり(route)でやってきたかという曲。
他にも自分の根っこ、つまりルーツ(root)はそもそもどこなのかという意味もタイトルに込めています。なのであえてカタカナのタイトルになっています。
具体的な内容としては、田舎から出てきたけど都会にも馴染めないし、あんま昔と変わってないなぁって気持ちと、変わらない自分の根っこを誇りたいって気持ちをリリックに認めました。自分の中のビジュアルイメージとしてはロードムービー(特に具体的な作品はないけど)。
ラップのコンセプトとしてはverseにもメロディを付けたいなってのがあって、短い曲の中でいろんな展開を見せられたかなと思います。音乗りを重視したかったので、最初はリリックを作り込まず、トラックに合わせてフリースタイルみたくverseを蹴って、手探りの中でだんだんと作り上げました。といっても音源の形になるのにそこまで悩んだりもなかったので気持ちよく作れました。
トラックはリースのタイプビートを制作されているUnknown Instrumentalzさんのものを使用させていただきました。トラップを多く制作されていて、ハードなトラックからメロディアス、エモーショナルなトラックまで、時代の潮流に乗りつつバリエーションが豊富なものを提供されております。www.youtube.com
M3.『Utopia』
beats & mix by TAKI from No's-Core
初出はTOKIIRO COMPILATION Vol.2に参加した際の曲です。配信に乗せるのは今回が初。
これは明確に元ネタがある曲で、伊藤計劃さんによるディストピアSF小説の傑作『ハーモニー』をモチーフにしています。
主題にしてるといっても制作の初めから『ハーモニー』を意識していたわけではないです。元々はトラックを聴いたときに「ユートピア」ってイメージが湧いて、もうちょっと自分の内省的な話になる予定だったんですが、「今から見る過去への郷愁」って要素が『ハーモニー』に重なるなと思い、この作品を歌ったものになりました。
この曲は主人公のトァンの視点から描いており、ミァハたちと過ごした日々を想い、しかし今では取り戻せないものであるという内容になっています。「ユートピア」 とは「理想郷」と訳されることが多いですが、語源はギリシャ語にあり、「どこにもない場所」(ou (否定詞) と topos (場所) )という意味になるそう。結果的にですがトァンとミァハの関係性、そして世界観にも馴染む言葉を曲のタイトルにしていたんだなと。
『ハーモニー』が気になった方はぜひ手に取ってみてください。アニメ映画もありますので!ちなみにその映画版のレビューも過去にしてるので併せてよろしくお願いします!(露骨な宣伝やね)
ラップは内容重視で言葉を聞き取れることを意識。雰囲気的に声重ねるのは野暮かと思い、被せなどは全くありません。最後のスキャットはやりたかっただけというのと、原作のオチを意識したものです。
トラックはTAKI君。ディストピアな空気を連想させる、シリアスかつセンチメンタルなビートでした。
M4.『ill nerd sing』
beats & mix by TAKI from No's-Core
(もじってはいますが)表題曲になります。
歌っている内容は、自分がよく遊びに行く秋葉原サイファー( @akiba_cypher )のことについてです。フリースタイルラップをやり始めたホームで、それなりに長くやってて思い入れもあるのである種の感謝の曲。寒空の下で震えながらやるってなかなか奇怪な集団かもですが、それが楽しいんだよなぁ。
あとはナード気質なやつの矜持を表せたらというのもあります。具体的な元ネタの作品はないですが、強いて言えば自分の日常を出力しただけと言えますかね。
ラップで意識したことは、トラックの展開が多彩なのでそれに対して抑揚をしっかりつけて、テンション上がるところで跳ねるラップをするってとこでしょうか。今回の楽曲群の中ではEP制作初期に録った曲で、この頃からhookでメロディ付けたがりなのがわかりますね。
トラックはTAKI君。前のめりなピアノとディレイで入ってくるドラムやベースという面白い構成で、フロウを作り上げるのに頭を使いましたが、その分楽しくやれました!
M5.『Welcome to Windy City』
beats by 第三者会議室 ( @studio_b3 )
mix by TAKI from No's-Core
先ほどの曲がEPの初期に録られた曲ならば、こちらはラップをやり始めてから一番初めに歌詞を書いた曲になります。
モチーフはイントロでも言ってる通り平成仮面ライダー11作目『仮面ライダーW』。
リリックの雛形は3年前ぐらいにはできておりまして、当時自分の好きなものを主題にして曲を作ろうと思い立って書き始めたのを覚えています。当時は自分のいろいろな技術的な問題や納得いく出来にならなそうだなぁという理由で寝かせることにした経緯があります。途中リリックの変更を重ねて、原型がそのまま残ってるのはhook(例によって一番初めに思いついた)ぐらいで、verse部分は7割ぐらい変更してます。
なにゆえ去年のサンクラEPで上げることになったかと言うと、去年が『仮面ライダーW』放送10周年のタイミングだったからです笑。気持ち的にもタイミング的にもここで上げるっきゃない!ってモチベーションになってました。
内容は主人公の左翔太郎の視点で見た、愛すべき街「風都」とその仲間たちのことを歌ったもの。本来なら登場人物もトピックももっと多いですが、翔太郎が普段関わり合う仲間や市井の人たちに描写を絞ってリリックを作りました。それでもだいぶ歌詞の中にネタを散りばめたのでWの要素を探す楽しみはあるかと(W自体の元ネタ作品の一つ『探偵物語』を入れたりと、いろいろあります)。
ラップの面では、作り始めの頃に自然とそうなったんだけど全体的にboom bapを意識した乗せ方になっています。hook部分はわりとキャッチーで印象的なものになったかなと思うんで、聴いてる人も乗せやすいだろうし、ライブで映えるやろなぁと思いながらrecしました。あと初めに作り始めた曲だからなのか、イントロからアウトロまでリリックが詰め込まれてて、自分なりにWへの気持ちを昇華しようとしてたんだなぁと我ながら微笑ましいです。
トラックは第三者会議室さんのフリートラックを使用させていただきました。作詞よりも前にこのビートには出会っておりまして「絶対にWの世界観に合う!」と思い、聴き込んでからリリック制作へ。ビートが軽快で跳ねるようなリズムなので、街を闊歩してるような情景が浮かびました。第三者会議室さんのトラック群は作り上げるムードが多彩でディグるのが楽しかったです(第三者会議室さんのトラックマイリスト)。
第三者会議室さんは「Juicee」という名義でラップもされているのでぜひチェックを!(Juiceeさんのソングマイリスト)(Juiceeさんのサンクラ)
今年、Juiceeさんが参加された曲の『空の星へ沈むころ』(beats by shirothebeats)のメロディアスなフロウが素敵でした。
M6.『parallel world』
beats by DopeBoyzMuzic ( Website )
mix by (COOH)2 from No's-Core ( @cooh2shu )
初出はTOKIIRO COMPILATION Vol.1に参加した際の曲です。配信に乗せるのは今回が初。
チルでムードある感じなので、いろんな料理の仕方ができそうと思って乗り始めました。早めにテーマとhookを思いついたものの少し行き詰まりまして、考えているうちに好きな作品を足せば上手くいきそうと閃きこの形になりました。
そこまで作品を再現したわけではないけど、元ネタは『ラブライブ!サンシャイン!!』です。
それと聖地・沼津に行ったこととかを重ねてリリックに仕上げました。タイトル、そしてテーマでもある『parallel world』は、実際の場所に行き、いないはずの彼女たちを感じられる瞬間に夢と現が繋がったような不思議な感覚を覚えたことから付けました。「いないのに確かに感じる」このテーマでやり始めたときから『サンシャイン』の要素を使うことになるのは明白だったのかもしれません。余談ですが、去年放映された『サンシャイン』の劇場版は正にこのことが描かれてて、ライブ〜EDの一連のシークエンスはただただ感涙でした。不在でも確かにいる、この素敵な気持ちは忘れられない。
あとそれぞれの人が好きなものや場所に思い入れがあって、文脈も見え方も違って、その数だけ紡がれるストーリーがあるなと感じたのもこのタイトルを付けた理由です。
ラップとしては『ルート』と同じくフロウを意識しました(制作順としてはこっちが先ですが)。hookでメロディアスになるのは決まってたので、それを邪魔しないぐらいのバランスで1verse目は作り、2verse目は小節のケツで細かく韻を落とすことを意識。他にもREC中にハモりの被せを思いついたり、「わしいろいろできることあるやん!」って気付かされた曲でした。最後のスキャットはほぼ一発録りで気持ちよく録り終えたのを覚えてます笑。
トラックはDopeBoyzMuzicさんのリースのタイプビートを使用させていただきました。
boom bapやトラップと、作風の幅広さがすごい。そんな多種多様なトラック群の中で自分はミディアムテンポのものが好みでした。しっかりリズムに乗れて気持ちいいものばかり!
シメに
全曲解説していきましたがいかがでしたでしょうか。
改めて自分の言葉で作品を振り返ると、いろいろ思い出したり、発見することもあって楽しかったです。
サンクラ版のときも流れはいいなぁと思ってましたが、今回2曲足すとさらに補強された感じになったのではと思います。川の歌から始まり海の情景が入る歌で締められるこのEP、何か響くものがあったならとても嬉しいです。
余談ですが、ジャケットの海は沼津で撮ったもの。スマホで撮ったので本来は横に長いんだけど、トリミングと加工を施して今の形に。照らす陽光とそれが作る陰影、それとうっすら映る富士山がちょっといい感じでしょ?
ということで、マミヤでした。最後まで読んでいただき感謝!
1st シングルの『imagine a Paradise!』も何卒よろしく。