やはりアニメが始まるとよりボルテージは上がるもので、トゲナシトゲアリの曲のローテ率が上がった。
各シングルの画面までポチポチ移動するの面倒でプレイリストも作ったり(Spotify以外でも公式プレイリスト欲しいよね)。
そればかり聴いてるわけでもないけど、無理に追うでもなく、自然と見たり聴いたりしちゃう。コンテンツとの距離感は、今はそれぐらいがちょうどいい。
ということで第2話の感想。
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土砂降りの雨のライブから数日経っても、引き払った賃貸の再契約に時間がかかるようで仁菜の住まいに転がり込む桃香。
仁菜が1話で隣の夫婦の優しい気遣いを拒否するほど警戒心が強いことを思うと、桃香への信頼が垣間見える。
仁菜と桃香が鍋をつつくシーン。仁菜が高校で受けたいじめや中退後に大学へ行くために上京したことが語られる。目的もあるし、それに対するモチベーションもあるはずなのにどこか心許ない。
それを看破してか、拒否する仁菜を桃香がずっとバンドへ勧誘してるのが、この回の見どころ。第2話において、メインキャラの中でずっとブレずに動き続けたのが桃香だった。
続くシーン、元の住まいに戻る桃香の最後のお願いとして、仁菜の歌を聴かせてもらうというのも、ボーカリストの資質を桃香が再確認するのと同時に、仁菜自身にもその資質を自覚してもらおうという意図があるように思う。
家と塾の行き来、帰っても部屋にライトもなく暗がり。友人もいない仁菜にとって桃香がいなければ日々のコミュニケーションもままならない。一人きりでいることじゃなく、周りに人がいるのに関係を結べない孤独を淡々と描く(スマホの通知に一喜一憂する仁菜がかわいい)。
部屋のライトをあげる旨の連絡が桃香から来て、仁菜は足早に桃香のもとへ。
光明が差したと思ったところで、ドラマーの安和すばるの登場で仁菜の表情が曇るのがいたたまれない。この回、仁菜の内省的な描写に比重が置かれてて、すばるはその内省的な部分を刺激する役回りになっている。メインで描かれてないけど、すばるがどんなキャラかしっかりわかるとこに演出の上手さを感じる。
繋がりを広げようとする桃香、その意図を汲んで(表情には出るが)拒絶できない仁菜、その様子を見て帰ろうとするすばる。三者三様で気を遣っているこのシーンがなんだか印象的。
そこから桃香が強引に夕飯の鍋に3人で繰り出す。結局、すばるの"上から目線"の気遣いを感じて仁菜は足早に店をあとにする。
仁菜の態度を桃香がたしなめるシーンでも仁菜の意固地さが発揮される。叱っていても「一番大切なもん、持ってるのに」と桃香は呟き、険悪になっても仁菜の力を信じる部分はブレない見せ方になってるのが良い。
後悔しながら家路に着き、一人でライトも付けられない仁菜の姿が示唆的。「ずっと闇なんだ」って一言が、都会で一人、サバイブする未来を思うと深刻に響く。
仁菜が嗚咽をあげる中、家に勝手に入る桃香たち。
歌うことをすすめ、ひん曲がってて意地を突き通す姿勢も全部込みで、
「私が忘れていた、私が大好きで、いつまでも抱きしめていたい、私の歌なんだ」
と仁菜を評価する桃香の口説き文句が、今回の一番のパンチラインだった。
桃香のこの視線って、仁菜が桃香の作った歌を「自分のテーマソング」と言ったのに近い感慨なように思う。自分の手元にはもはやないけど、一緒だったらやれる気がする。欠けててたりないやつらが補い合い、強くなる。
そして、一緒にやることでそれぞれの運命を変えていくっていうのも今後描かれるのかなと思う。
仁菜は"負けないために"大学を目指すが、それはあくまで親のロジックに乗った上での目標だ。そのまま一人で進めば"ずっと闇"をさまようことになることが示唆された。
しかし、仲間となら鬱屈して蓄積した怒りも悲しみも別の形で表現できる。 中指ではなく小指を立てることを提案したように。
信頼できる他者と進むことで、負けないために上京してきた仁菜の本当の勝利条件が見えてくるのだろう。
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「もう誘わない」と言いつつもその歌声への執着を捨てる気がない桃香のブレなさ。何回も見てるとそこがより際立っちゃって、桃香さん良いなってなっちゃいましたね。
次回は桃香の古巣、ダイアモンドダストが出てくるようでこれまた楽しみ。